大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡地方裁判所小倉支部 昭和45年(ワ)930号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二、原告の損害

<証拠>によると、原告は、加納医院に昭和四四年七月一一日より同月三〇日まで二〇日間入院した後同月二一日より昭和四六年五月一五日までの間に五〇三日間通院し、その後も通院していることが認められるが、前掲加納証人の証言の一部、鑑定人岩渕亮の鑑定の結果を綜合すると、原告の受けた傷害は、いわゆるむち打ち症であり、その症状は頭部から左肩にかけての疼痛、頭痛、めまいなどであつて、それも主として原告の自覚症状であり、ただ頸部に非常に強いという程ではない疼痛のあることは、局所々見および筋電図検査により認められるが、他に他覚的な異状はなく、軽度の頸腕症候群の症状であつて、右頭頸部痛の特徴としては、この部位の疼痛およびそれに伴なう労働能力低下の度合は、いづれも心理的影響を強く受けるため、客観的評価が非常に困難であること、および頸部に疼痛があると、ある程度労働能力は低下するものと考えられるが、それは、肉体労働よりも一定の姿勢を保つて行なう頭脳的、事務的労働を長く続け難くなる形をとつて現われ易いこと、追突事故による頸部痛は、大部分の人は比較的短期間に治癒する実状であることが認められ、これら認定の事実に、原告車を運転していた訴外加来秀男は、軽微な負傷で済んでいることが、成立に争いがない乙第七号証、被告本人尋問の結果により認められることを綜合すると、原告の症状が事故後現在まで二年余に亘り就労不能な程強度のものであるかどうか極めて疑わしく、原告本人の供述中この点に関する部分は、にわかに信用し難い。そうすると、原告の本件事故による治療期間、休業期間は、事故当日より昭和四五年八月三一日までの期間の範囲内においてこれを相当な期間と認め、その余は本件事故と相当因果関係があるものとは認められない。従つて、原告の請求し得べき損害は次のとおりである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!